松江かわら版 No.6 松江城 天守に登りて 見下ろせば 高層ビルが 睨み返す ・・・などとまた下手な歌を。しかし、文客達の愛した松江の古の街並は? |
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松江しんじ湖温泉地区では空き店舗が増えてきたため、老朽化したビルなどを複合建替えし、店舗や温浴施設、老人ホームの入る「千鳥町ビル周辺市街地再開発事業」計画が決定。土地面積約7,300平米。当初は7階建分譲マンションの予定もあったが、4階建てに収まる。 ところで土地の高度利用のための「第一種市街地再開発事業」の代表格といえば、県民会館前の「南殿町再開発ビル」。やはり空き店舗の目立っていた南殿町商店街の再生をかけ、そしてまた多額のお金をかけて出来たのがこのビル。で結果は・・南殿町にさらに「テナント募集」の張り紙が増えただけ。おまけに、高層分譲マンションも上にのっけた結果、松江城のつい目と鼻の先に、15階建ての高層ビルがそびえたつことに。おいおい、松江城を中心とした観光が一大産業の松江市が・・・。 このビルは、私が松江市に帰ってきた2008年にオープンした。しかし私には最初から失敗だと分かっていた。私が横浜にいた時、道を挟んだ向かい側に再開発ビルが建つのをつぶさに見てきたから。 |
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松江市による「やらせ陳情書」 地域からの陳情書というのは、先ず地域から要望が出て、それをまとめて行政側に陳情書を提出するんですよね。決して行政側から出してくれと地域に要請するものではありませんよね。ところが驚いた事に松江市では、行政側が「おーい、こんな陳情書を出してくれよ。」と地域に頼み、地域がその陳情書を提出するか検討し、陳情書が出される事があるようだ。 松江市は、南殿町と北殿町町内会に、一畑デパート跡地(現県民会館駐車場)を立体駐車場にしてくれるよう要望する旨の陳情書を出してくれるよう、要請した。各町内会がそれを受け、既に陳情書を提出したか否かは、一般町内会会員の知る由ではない。 松江市は2年前、この地に立体駐車場付きの再開発ビルを計画した。その向かいに大失敗の再開発不発ビルをオープンさせたばかりだというのに。しかし、その計画は新聞でも報道され、世論の反対もあってか頓挫した。私もその記事が出た時市に問い合わせたら、「まだ公表もしてないのに、新聞が書きやがって!」という反応に驚いた。そしてまた、「県民会館さんが、100台分の駐車場が欲しいと言うから。」とも言うので、県民会館に問い合わせたら、「いえ、松江市さんが開発ビルを建てたいと言うので、県民会館駐車場に今ある約100台分は確保して下さいね、と言ったんですけど。」・・・どんな手を使っても作りたいんだ。 城山北公園線・・・交通量さらに減少。でっ? 国土交通省による5年毎の、全国道路交通量調査2010年度版結果が9月30日発表に。城山北公園線(正式名は本庄福富松江線)の、1日の交通量の推移1万6000台(2001年)→1万3000台(2005年)→1万0738台(2010年)昨年の交通量は、5年前より2262台減。減少の速度は少しずつ緩やかになってきてはいるが、1年後辺りには1万台を切る事になりそう。それでもさらに、巨額の金を注ぎ続け拡幅? 城山北公園線・もう一つの問題・・・第一工区620mに7つの横断歩道 |
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そうです、一番東のお城堀端から進むと、信号機付き横断歩道6つ、信号機無し1つ。松江の旧市内は城下町として発達したため、道路が縦横に張り巡らされていて当然。そして6つの信号機付き交差点のうち5つでは、混雑時に縦だけでなく、横の道路からの車もかなり多い。だから、本線を拡幅したとしても、信号がネックでさほどの渋滞(と言うなら)緩和は望めない。さらに問題は、4車線に拡幅された横断歩道を歩行者が渡り切るには、2車線よりずっと長い時間を取らなくてはならない。もしかするとその結果、拡幅4車線化で、却って車の渋滞は悪化しかねない。 そしてもう一つ考えなくてはならないのは、「高齢化社会」。先日タクシーに乗った時、いつものように拡幅について質問したら一言、「年寄りは、渡り切れないな。」。運転手さんは職業柄、4車線横断歩道を歩行途中に信号が変わり、立ち往生しているお年寄りを多く見掛けられるのでしょう。そうです旧市内では、かなりおぼつかない足取りで歩いていらっしゃるご老人を多く見かける。城山北公園線沿いの殿町、母衣町、米子町、田町は、敬老の町ですよ。 ■サンクコストのジレンマ・・・というと難しそうですが、サンクは沈んだ(sunk)の意。 つまり「埋没費用」。具体的に言うと、たとえば30億円のホテル建設を計画。既に15億円かけた時点でこのホテルの経営採算は合わないと判明。そこでどうするか?既にかけた費用を思うと、さらに15億円かけてとりあえず完成させる?それとも30億円の損失を出すよりは、15億円は諦め建設中止?このジレンマでどちらを選ぶのが賢明か?それは後者、つまり中止する事です。既にかけた15億円は、絶対に回収する事の出来ない「サンクコスト」に。しかし損失はそこで止まる。・・・ところが人間は往々に中止するもったいなさに傾き、前者を選ぶ。 城山北公園線の拡幅工事は、まさにこのケースです。しかし幸いにもこの事業は、今までにかけた膨大な費用を「サンクコスト」にではなく、価値ある投資に変える事が出来ます。つまり、既に拡幅された空間を、新しい街作り構想に変換、城門の前から続く美しい並木通りに。 ■ついでに島根物産館の駐車場 もし四車線化を強行すれば、「島根物産館は潰れる」というのは周知の認識です。今や店の前に駐車場がなくてはやっていけない時代。それをあえて県自身が奪い取る。つまり潰す。 開府400年博とは、何だったのか? 福島3.11で自粛。5月の連休から本格的に始まった開府博。最初はかなり期待してましたが、しかし何処か今一ハイライトも無いイベントがだらだらと。市民の関心度も、信じられない程に低い。そこで開府博に、『これは「市民の祭り」なのですか?それとも「観光誘致」の博覧会?』と問い合わせたら、後者ですと。なら、来年発表の「費用対効果」の成果発表待ち! 島根原発事故が今起こったらどうすればよいのか・・・と10月に県と市の原子力安全対策課に問い合わせると、「避難先が今のところ見つかりません」。じゃあ、ここで被曝するしかない?!
2011年12月18日発行 ネット: matsue-kawara.com/ |
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