松江かわら版 No.5
目出度くも 国宝となりし 松江城
見下ろす城下は 原発廃墟
・・・などと拙い歌を詠んでみましたが、本当は、福島以降日本の根底を問う深刻な問題です。
★日本の原子力発電の起点は、1954年中曽根康弘氏などにより提起された「原子力
研究開発予算」である。そしてその翌年「原子力基本法」が成立した。
島根原発第1号機・・・日本で第6番目の原子炉。1974年 3/29稼働開始。
(①東海 ’66 ②敦賀1号 ’70
③美浜1号 ’70 ④福島第一1号 ’71
⑤美浜2号 ’72 ⑦福島第一2号 ’74 7/18 )
この島根1号機の建設は、1966年10月11日に中電より意向表明があり、翌日説明会。同年11月17日に建設申し入れがあり、即許可が下りる。つまり、完全な出来レースである。
島根原発第2号機・・・1989年2月10日稼働開始。
島根原発第3号機・・・2006年10月24日起工、2011年12月稼働開始予定(?)。
プルサーマル計画・・・2005年9月12日、県と松江市に申し入れ。県は即OKの姿勢。
松江市は慎重な姿勢を取ったが、澄田知事は翌年6月、容認表明。
島根原発の問題点
■日本で唯一、県庁所在地に在る原発!
島根原発は、島根県庁から約8㎞、県立図書館横の分庁舎、オフサイトセンター(島根原子力防災センター; 原発事故の対策本部)までは8.5㎞。という事は、松江市役所も、そして日赤や市民病院などの主要な医療機関等も含め、全て10㎞範囲内。今回の福島原発事故で、原発10㎞範囲内は避難地域だった事を考えると、もし島根原発で事故が起きた場合、どこが事故対応に機能するのか?
その間にも、20万人都市の松江市民全員が、放射性物質汚染をうける事になる。
島根原発事故の際、放射性物質を浴びながら避難するのは松江市民だけではない。近隣の市町村を含めた30㎞範囲に、46万1000人の住民。これだけの人間を緊急かつ安全に避難させる術はあるのか?そして、これだけの避難民を収容し、食料や寝具もろもろを手配し生活させることが可能なのか?・・・とりあえず松江市民は、帰る故郷を失った難民となり、お城だけがそこに・・・。
チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染1/4
★この映像は15年前のNHKの特番。しかし福島事故後、NHKの「ただちに健康に被害を与えるものではないので、冷静な対応を!」というスタンスと合わないのか、現在どんどん消されています。たくさんの人々がYouTubeでなんとかUPしていますが、これもいつ消されるか分かりません。見るならお早めに!
(西ドイツ放送) 死の地域に生きる
★福島原発から20㎞離れた、南相馬市にいまだ留まっている人々の、生活や問題を扱ったドキュメント。
松江市も、原発事故がひとたび起これば、同じ運命をたどる事になる。
■日本で唯一、余りにもずさんな点検・点検漏れで運転停止を受けた原発!
2010年3月30日夜、「島根原発、ずさん点検で運転停止へ」という、全国版ニュースが!その後の詳しい調査で、点検計画表の誤記載による機器の超過使用が、511ヶ所あった事が判明。それを受け、1、2号機とも運転停止処分となる。同年12月28日、2号機は9カ月ぶりに運転を再開するが、1号機は未だ運転停止状態にある。 どんなに中電の社長が頭を下げようと、この事件が生んだ不信感は決して拭われるものではない。ずばぬけて、日本一ずさんな安全管理の島根原発の安全性を、誰が信じるだろう!
▲補足
2012年1月27日、全国でいまだ稼働中だった四機の原発のうちの一つ「島根原発」が、定期検査で停止する瞬間を日本中が見守っていた。
送電停止作業は1月26日に始まり、27日午前2時までには完全に送電終了。そこまでは筋書き通り。ところが何事もまともにはいかぬ島根原発、その時点で4つある放射能測定機の全てが壊れ、送電停止後の作業が不能に。後で分かったが、4つのうちの最初の1つは1月13日、つまりまだ稼働中に壊れていた。28日にも進展なし。29日の夜遅く4つの測定機全てが新しいものに取り換えられ、翌30日に送電終了後の作業が再開され、終了した。
こんな事さえまともに出来ぬ、島根原発・・・!
■島根原発のすぐ南に活断層
1998年、島根原発3号機建設に伴う調査で、「宍道湖断層」がすぐ南に走っている事が発見された。しかし中電は、たった8㎞だから大丈夫と3号機建設を開始。ところが2004年には10㎞に、2008年には22㎞に訂正された。この調子でいくと、この活断層はどんどん伸びていきそうだ・・・というより、これが中電の体質で、原発を建設するためには活断層が突然現れたり、「あれ伸びちゃった!」なんて平気で言えてしまう。こんな中電、だれが信用する?
ちなみに880年、現松江市に大きな被害をもたらした「出雲地震」は、この宍道湖断層と言われている。
■北朝鮮のテポドンによる、原発の核兵器化への懸念
2011年6月28日、関西電力株主総会開催。その時株主から「北朝鮮が原発に対し、テポドンを撃ってきたらどうするか?」という質問が。すると経営陣は自信満々に、「着弾があっても、堅固な立派な格納容器と思っている。」これには識者も、「バカげた返答!」と呆れ返った。島根県って、朝鮮半島に近いですよね。テポドン、どか~んときたら・・・?
★世界的に原子炉の平均寿命は21年。米国の原子炉の寿命は約30年。ところが日本では、老朽化した原子炉の廃炉処理の困難さから、福島原発事故の直前に、老朽化した原子炉の延命方針が打ち出された。これで40年超の原子炉の、更なる長期運転が可能となった。
―そもそも、島根原発は必要なのか?―
答えはシンプル。NO!その根拠? だって2010年は、丸々9カ月間完全脱原発。それでも何も起こらなかった。別に電気の供給に困ったわけでもなく、節電の必要もなかった。なぜなら、もともと中国電力は火力発電が中心で、原発への依存度はかなり低い。2009年度は火力発電約79%、原子力約15%。2010年度、各約90%、約3%。残りは水力発電等。それでも電気が余り、関西電力などにおすそ分け!
中国電力の電源別構成
―ではなぜ島根原発1~3号機、及びプルサーマル計画が必要か?―
答えはシンプル。お金が欲しいから。人呼んで、「原発立地依存症」。貰えるお金は「電源立地地域対策交付金」。例えば最新型の原発を誘致した自治体の試算では、45年間で2,455億円ものお金を貰える。ただし、原発着工から7年間は433億円。それを過ぎると前年の4割程度に落ちる。すると甘いお金に慣れてしまった自治体は、以前と同じ、いやそれ以上にお金が欲しくなり、さらに新しい原発を作り続ける悪循環に陥る。つまりは、麻薬中毒症状。健全な財政、政治は蝕まれ、独自では維持も出来ない箱物や公園、道路建設にと舞い上がる。
プルサーマル計画も、2006年度内に同意した自治体には60億円という飴玉付きだった。
日本の原発依存症を生む補助金中毒文化 ; The NY Times
http://www.nytimes.com/2011/05/31/world/asia/31japan.html?_r=1&pagewanted=all%22
★ニューヨークタイムズで取り上げられた記事です。上は日本語での要約、下のは英語での全記事です。
英語版の写真は、クリックすると拡大で見れます。
|